ウルトラファインバブルとは?基礎や歴史をわかりやすく解説!
ウルトラファインバブルとはどんなものかご存知でしょうか?
最近、いろんな分野で活用されているのがウルトラファインバブルです。
では、ウルトラファインバブルとは具体的にどんなものでしょうか?
今回は、ウルトラファインバブルの基礎や歴史についてわかりやすく解説します。
ウルトラファインバブルとは?
ウルトラファインバブルとは「超微細気泡(ちょうびさいきほう)」のことです。
超微細気泡とは、顕微鏡でも見えないサイズの小さな気泡のことです。
英表記は「Ultrafine-Bubble」で、略字は「UFB」になります。
ウルトラファインバブルの定義
ウルトラファインバブルの定義は「1㎛ 未満の泡」のことをすべてウルトラファインバブルといいます。
具体的には直径1㎛未満~数十㎚程度の微細な泡のことです。
大きさを例えると、小さな泡を100万個並べてようやく約1mm程度の大きさの泡になるイメージです。
そのためウルトラファインバブルの泡は「0.000001mm(100万分の1mm)」の大きさの泡ということになります。
〇ファインバブルにまつわる単位について
単位 | 読み方 | 大きさ(1mmと比較) | 表示 |
㎛ | マイクロメートル | 1mmの1000分の1(10の -3乗mm) | 0.001mm |
㎚ | ナノメートル | 1mmの1/1000000(10の -6乗mm) | 0.000001mm |
以前の名称は「ナノバブル」だった
ウルトラファインバブルとは「ナノバブル」のことです。
2016年以前はウルトラファインバブルは「ナノバブル」と呼ばれていました。
命名したのは、一般社団法人ファインバブル産業会です。
ウルトラファインバブルに名称変更した理由は次の3点です。
ナノサイズの気泡をISO国際標準化するため
「ナノ」という言葉はヨーロッパでは「リスク(危険なもの・不確定なもの)をイメージさせるため
日本国内で、10年くらい前から「ナノバブル」と冠した、ネガティブイメージの製品が販売されたので、イメージを払拭するため
またウルトラファインバブルは「ナノマイクロバブル」とも呼ばれていたこともあります。
日本発の技術である
ウルトラファインバブルは日本発の技術です。
開発のきっかけは、養殖カキを救うためです。
養殖カキに微細な気泡を使ったところ大きな効果がありました。
ここから後のウルトラファインバブルの基になる「ファインバブル」の技術が研究されます。
ファインバブルは、その後のマイクロバブル、ウルトラファインバブルの開発につながりました。
ファインバブルの中の1つの技術である
ウルトラファインバブルは「ファインバブル」の中の1つの技術です。
ファインバブルとは、直径100㎛(0.1mm)未満の小さな気泡のことです。
また、ファインバブルは、サイズによって「マイクロバブル(直径1〜100μm)」と「ウルトラファインバブル(直径1㎛ 未満)」の2つに分かれます。
そのためウルトラファインバブルは、ファインバブルの持つ、さまざまな特徴を持っています。
世界の産業を劇的に変える可能性がある
ウルトラファインバブルが世界の産業を劇的に変える可能性がある理由は次の通りです。
ウルトラファインバブルは、物理的・化学的な使用をしなくても、そのままの状態でさまざまな付加価値を産業に与えることができるからです。
主に次の産業をこれから変えることが期待されています。
環境・医療・農業・食品・水産業・洗浄・工業・美容・その他などです。
「サスティナブル」の観点からも世界から注目されている
ウルトラファインバブルは「サスティナブル」の観点からも世界から注目されています。
理由は、水資源の節約・エネルギーコストの削減・化学物質の使用量の削減・CO2排出量の削減・人体への影響へのリスク低減・汚染物質の分解促進・バイオテクノロジーの促進などからです。
サステナブルには、持続可能な社会をつくるという意味があります。
経済産業省が輸出に力を入れている
経済産業省はウルトラファインバブルの生成技術の輸出に力を入れています。
理由は日本発で、現在日本の多くのメーカーが持つウルトラファインバブルの生成技術を積極的に海外輸出をすることで、日本の経済発展の成長エンジンにしたいと思っているからです。
ウルトラファインバブルを自宅で簡単につくる方法
実はウルトラファインバブルは、自宅で簡単につくることができます。
もっとも簡単なつくり方は「ウルトラファインバブル生成ノズル」を使ってつくる方法です。
ウルトラファインバブル生成ノズルとは、手のひらに乗るくらいの小さなノズルのことです。
ウルトラファインバブル生成ノズルの仕組みは、水がノズルを通ると、ノズルが水の中に含まれる酸素を使ってナノサイズの微細な泡を発生させる仕組みです。
このようにノズルに水を通すだけで、簡単にウルトラファインバブルをつくることができます。
ウルトラファインバブル開発の歴史
ウルトラファインバブル開発のきっかけは、養殖カキの赤潮被害対策です。
ただしもともとは土木建築の為に開発されてきた技術でした。
こちらではウルトラファインバブル開発の歴史についてわかりやすくご紹介します。
ウルトラファインバブルの生みの親とは?
ウルトラファインバブルの生みの親とは大成博文教授です。
大成博文教授とは、広島県の徳山高専でマイクロバブルの発生機を研究開発していた方です。
もともと大成博文教授は水質浄化の研究者でした。
1980年頃から、土木建築に必要なダム貯水池の水質浄化をするために気泡発生装置の研究開発を行っていました。
ウルトラファインバブルの進化の流れ
大成博文教授が研究をしていた気泡発生装置が、後のファインバブル発生装置の原型になります。
この後、マイクロバブル、ウルトラファインバブルが次々に開発されていきました。
ウルトラファインバブルが完成するまでの進化の流れ(お互いが被っている時期がある)
気泡発生装置 |
ファインバブルの開発 |
マイクロバブルの開発(広島湾の養殖カキの赤潮被害で活躍) |
ウルトラファインバブルの開発 |
広島湾でカキが赤潮で大量被害
ある時期、広島湾で「 ヘテロカプサ」と呼ばれる赤潮が大量発生しました。
赤潮とは、植物プランクトンと動物プランクトンのことです。
赤潮が発生する仕組みは、春から秋にかけて暖かくなると太陽の熱で海水が温まり植物プランクトンが異常増殖を起こします。
すると今度は動物プランクトンが植物プランクトンを捕食してすべてのプランクトンまでが増えます。
これらのプランクトンが大量発生すると赤潮です。
赤潮になると海水が濁り赤褐色、茶褐色などになります。
当時広島湾では、養殖カキが40億円の被害を出しました。
赤潮が発生すると魚介類に悪影響がでる理由
赤潮が発生すると次の3点で魚介類に悪影響を与えます。
ある種のプランクトンが持つ有害成分によって魚介類のエラにキズがつき、エラ呼吸ができずに魚介類が死んでしまう
プランクトンは夜になると、酸素を取り込み二酸化炭素を放出する性質があり、そのため海水の酸素が足らなくなり魚介類が死んでしまう
赤潮が海面を覆ってしまい、太陽光が海中に届かなくなることで、海藻類が光合成をできずに酸素を出さなくなり、海中の酸素がなくなり魚介類が死んでしまう
マイクロバブルが広島のカキを救う
大成博文教授は、広島湾を訪れマイクロバブルの試作機をカキ筏(いかだ)に合うように改良し、実験を開始しました。
当時の気泡のサイズは直径50㎛(0.05mm)でした。
マイクロバブルを海中に放出したことで、水の溶存酸素量が増え養殖カキは死滅せずに済みました。
この時、マイクロバブルがカキを救った理由は次の2点です。
海中の溶存酸素量を増やし、カキが呼吸できるようにした
マイクロバブルが生物活性効果を生んだ
マイクロバブルの発生機で特許取得
1998年12月大成博文教授は、カキを救ったマイクロバブルの発生機を特許出願します。
装置の名称は「旋回式微細気泡発生装置」とされました。
マイクロバブルの発生機は、2003年2月に「特許3397154」として特許取得に成功します。
特許取得に成功したことで、大成博文教授が開発した微細気泡は正式に「マイクロバブル」と呼ばれるようになりました。
ウルトラファインバブル開発への流れ
マイクロバブルが開発されたことで、さらに気泡を小さくする技術の開発がすすめられます。
それによりいよいよ「ナノバブル」が開発されました。
やがてナノバブルは、ISO国際標準化するために現在の名称である「ウルトラファインバブル」に名称変更され、現在世界中での活用が期待されています。
ウルトラファインバブルは自宅の水道でもお手軽に導入できる
ウルトラファインバブルというと、大型の製造装置が必要なイメージがあります。
ただしそれは間違いです。
ウルトラファインバブルは、一般のご家庭の水道でもお手軽に導入することができます。
導入方法は「ウルトラファインバブル生成ノズル」を自宅の水道管に取り付けるだけでできます。
まとめ
今回は、ウルトラファインバブルの基礎や歴史についてご紹介しました。
一見、ウルトラファインバブルというと、よくわからない印象があります。
ただし使ってみると、人体・環境・産業のすべてにとって非常に安全で有益な小さな泡です。
ぜひ、今回の記事を参考にして、ウルトラファインバブルをお試しになってみてはいかがでしょうか。
家中まるごと ウルトラファインバブルについてもっと詳しく知りたいのでしたら、お問い合わせフォームや、フリーダイヤル0120-878-167(9:00〜19:00)までお問い合わせください。